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香りのストーリー「オモヒデ」

  • kuroageha1123
  • Jun 29, 2025
  • 5 min read

Updated: Jun 30, 2025

今晩は。

本日もこちらのブログにいらしてくださいまして、

誠に有難うございます。

本日は、「文香」として販売しているフレグランスパルファム

「オモヒデ」の香りのストーリーを書かせていただきます。

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十一月の小春日和。都市部の西、雑木林が残る住宅街のはずれに大きな敷地を設けた施設、そのとなりに広い野球場くらいの野原、一辺の長さ五十メートルのトゲだらけの垣根がある。カラタチの垣根。風も無いのに 「キコキコキコ」どうやら誰かが揺らしているようだ。一方、垣根の北側の施設がある方 に目を転じてみる。敷地内は子供が遊べる運動場を取り巻くように三棟の横長の木造家屋   児童養護施設。西側には大谷石のどっしりとした門。表札がはまっている。「マケドニア学園」とある。敷地北側には三角屋根の教会がある。一人の修道女が洗いざらしのコットンの香りを風に振りまきながら、胸には大きな経典をかかえて教会の門扉を押し開けた 。そのスキに背後からものすごいスピードで子供らしき影が修道女の脇をかすめて扉の中へ飛び込んでいく。その様子を背後から見ていた別の若い修道女が声をかける。「池谷お姉さま、また カリンちゃんがお姉さまの脇から中に入っていきましたよ」「あらまあ」修道女池谷玲子四十歳。以前は郊外の警察署にいた。交通課で、交通違反者中、軽い者たちをよくいましめる役目が多かった。不法駐車や、スピード違反の物を、目を真正面から射竦める、その目が「黒い湖」と言われていた。 射すくめられた者は「心が洗われた」などと言い、特に男性に人気で、その目に見られたいために用がすんでも用を創って何度も警察の池谷玲子を訪れる者が続出、週末などは行列ができるほどになり、警察には迷惑がられた、という。そんなこともあり、後は何かあったか定かではないが、修道女としてデビューとあいなった。もっぱら彼女は古い経典の研究にいとまが無いらしい。さて一方美しい修道女池谷玲子の脇を駆け抜けた子供とは、カリンちゃんは両手に抱えきれないくらいのカラタチの実を自分の胸に押し付けながら、チャペルの奥へ廊下をはだしでペタペタとダッシュ。池谷玲子が奥の部屋の大理石の祭壇に経典を乗せるそのすぐ前の小さな栫井にカラタチの実をすごい速さでピラニッド状に積み上げる。池谷玲子が到着する時にはいつもカラタチのピラミッド。そしてカリンちゃんは池谷玲子に見つからないように反対側の勝手口から外へ。そこにはインラインスケートが用意してあり、コンクリートのたたきの上を積みきれなかったカラタチを持って疾走、渡り廊下のコンコース上で自転車の修理をしている用務員、緒方祐二のもとへ。「ホラまたこれ持ってきたよ」「おうカリンちゃん、くれるの」「うんあげる」「ありがとう」と緒方祐二は答え、十個のカラタチをミレイちゃんから受け取った。もはやこれはすべてが遊びである。さてカリンちゃんは養護施設で暮らしている小学校四年生の女の子である。身寄りの無い子が入るのが養護施設だが、最近はそれだけではない。彼女の業務上取り扱い名義は「虐待」になっている。カリンちゃんは家族から外見上虐待を受けているわけではなかった。ただ両親がカリンちゃんを「女の子らしく育てていない」という理由で祖父が息子からカリンちゃんを引きはがし、取り上げようとしたところ、もめて、とうとう養護施設に入れられるというひどい結末。ただ、当のカリンちゃんは祖父から時々「女の子らしくしなさい」と言われるのがいやだった。だから返って養護施設は清々として楽しかった。自分のさみしさにはフタをしていた。唯一、この晩秋に実るカラタチの実の匂いを嗅ぐと、懐かしいような悲しいような気持ちになって、集めて誰かにあげたくなるこの気持ちが「女の子らしい」ことには本人は気づいてない。非常勤用務員緒方祐二は、カリンちゃんから貰ったカラタチを自宅へ持ち帰り、台所の包丁で二つに切る。包丁がベタつく。洗剤で洗っても簡単には落ちない。切ったカラタチをお湯割りの焼酎へ絞り入れる。 うまい。サンマの塩焼きの上に絞りかける。旨い。 それから十余年が経つ。十八歳で出所してもう成人したカリンは恩師池谷玲子に挨拶がてら借りっぱなしになっていた本を返すために施設を訪れていた。大きなイチョウの木の黄色が青空に美しい。「あらカリンちゃん久しぶりね、元気だったの」「ええ、おかげさまで、ありがとうございます」などという会話をしている脇を走り抜けようとする女の子をカリンは見逃さなかった。「こんにちは」と声をかけるカリン。ビクッとして立ち止まり見上げるその胸には沢山のカラタチの実。十五年前と同じ自分が今そこにいる。カリンはかがみ込んでその女の子に目を細めてほほ笑む。しかし、何を言っていいか、分からない。が、とっさに強く抱きしめてしまった。涙が止めどなく溢れてきた。

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新しい商品 「ユースフリーノートカバー」の販売も始めました。

「中村印刷所」様の水平開きノートと、ボールペンをセットにして

販売致しますので、到着してすぐに使用していただけます。


本日の「技術担当者の奇言」。

「飛行機は不可能と昔の学者先生はおっしゃっておられました。

TVも実現不可能とおっしゃっていた先生がおられます。

今、タイムマシンは不可能とおっしゃっている先生がおられるようですが、

どうなるのでしょうか。」

最後までお読みいただきまして、

有難うございます。

佳い一日をお過ごしください。


 
 
 

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